いわゆる町蕎麦だが手打ちの良店。とのウワサを訊き、こちらへ。
春日部だと川沿いの鬼レトロそば処「や婦゛楚者゛(やぶそば)」もいいのだが、ここはどうだろうか。
メニューにご飯物がない。そばかうどん。入口横の麺打ち場で作るそれだけ。町蕎麦ではかなり珍しい。
メニュー群は相場かそれよか少し安い設定か。たぬきそばは500。そして冷したぬきそばも500だ。それにしよう。
おおおおーすてきなビジュアル!なみなみと張られた冷し汁はごくごく飲める系いいいいいー!
色味はやや薄めだが塩気はちょうどいい塩梅。甘みは控えめで昆布と鰹のだししっかり効いてる香り。
なるほど埼玉でもうどん文化圏ではない春日部ならではの汁か。うどんよりそばに照準があったいい冷し汁だ。
そば粉の比率は半分程度だろう。しかし多加水でしっかりとコシのある麺だ。コリと引き締まって涼やかな印象、また温そばではハラリとした食感でしっかり対応する賢いタイプ。
そば湯を啜りながら思う。
つまりだ。そばの世界は、うまいそば=そば粉比率という一指標だけではないという事。むしろ小麦粉ともしっかり向き合わないとこの様な麺は打てないと思う。
皆が楽しめるまでに広まったそば切りの発展には、小麦粉も巧みに用いてきた長い歴史がある。
これはそばを食べたいなあ。という人間の思いと、創意と工夫の賜物なのだ。
生粉打ちも大いに結構。だが大衆手打ちの風格だって存在するし、またすばらしいものなのだと。